2.キャラクターの管理

キャラクタービジネスを行うとき、どのような問題が起こりやすいのでしょう か?

(1)キャラクタービジネスに関わる人々
キャラクタービジネスには、様々な立場の人々が携わります。

(2)キャラクタービジネスの問題
立場が違うと、キャラクターに対する心配事も次のように違ってきます。

①キャラクターの作者
・キャラクターの顔やポーズを、勝手に変更されたくない。
・名前、性格、場面設定(キャラクター以外)についても、勝手に変更されたくない。
・あらかじめ予定されていない商品や広告に、キャラクターを使われたくない。
 使用する範囲が拡大する場合には、承諾を得て欲しい。

作者は、キャラクターの場面設定や性格、表情、動作のひとつひとつを考えぬいて作っています。微妙な差異であっても、ちょっとした変更が、元のキャラクターのイメージを損なう場合があると考えており、できれば変更後のものを確認したいと思っています。
またキャラクターが、その個性にふさわしくない使われ方(例えば子供向けのキャラクターなのに、酒のパッケージに使用する等)をされれば、やめて欲しいと思うでしょう。

さて一方、キャラクターをビジネスに利用する人たちはどうでしょうか?

②キャラクターをビジネスに利用する会社等(ライセンシー)
・キャラクターの顔やポーズはいろいろあったほうが良い。
・簡単な変更についてまで、作者の承諾を得るのは面倒だ。
 また、新たにキャラクターを作者に頼むと、費用がかかりそうで心配だ。
・キャラクターのイラストを元に、ぬいぐるみ等の立体物を作るとき、
 可愛いものが仕上がるか心配だ。

キャラクターを使う立場の人たちは、できるだけ手間と時間と費用をかけずに、合理的かつ効果的に仕事をしたいと思っています。

比べてみると、ずいぶんと両者の意見が異なることがわかります。
しかし、共通する問題は以下のようなことに集約されるでしょう。

1)キャラクターの設定・イメージ・魅力を維持したい。
2)時間・費用の問題は合理的に処理したい。
3)多くの人に利用してもらいたいが、利用範囲については把握したい。

これらの問題を中間的な立場で管理するのが、③のキャラクターを管理する会社等(ライセンサー)です。たとえば1)〜3)のような問題を客観的に把握し、許諾契約を結び、使用料の管理をおこない、商品のデザインチェックや製造販売の管理をします。


どの立場の人たちも、そのキャラクターを世の中に送り出し、人気者になってもらいたい気持ちは同じです。
そのような気持ちを表現する時、私たちは「キャラクターを育てる」という言葉を使います。
キャラクターを育てるためには、あらゆる立場の人々が協力し、問題を解決しなければなりません。

私たち「クリオ」は、異なる立場の人々の意見を理解し、
キャラクターの魅力を永く維持するとともに、キャラクターの利用を促進し、
キャラクターが成長し続けられるように、さまざまな問題を解決したいと考えています。

次は、具体的な「キャラクター管理」の方法について述べたいと思います。

デザインガイドの作成
著作権法
契約書
その他の法律

【用語集】

① キャラクターの作者
キャラクターを考え、(絵画などにより)表現した人です。
キャラクターは絵画の著作物となり得ますので、原則として作者は著作者となり、著作権を保有することとなります。
② キャラクターをビジネスに利用する会社等(ライセンシー)
キャラクターを利用する人です。
多くの場合、作者自身はキャラクターグッズの製造・販売等のビジネスを行いません。出版社、文房具メーカー、おもちゃメーカー等が、著作者から著作権の譲渡や許諾を受けてビジネスを行います。また、地方自治体などのキャラクターについていうと、地方特産品にキャラクターを付して販売する個人商店なども、これにあたります。
③ キャラクターを管理する会社等(ライセンサー)
キャラクターを管理する人または会社です。
著作者から著作権を譲渡・許諾を受けた会社等が、②に対する著作権等の管理を行います。