2.キャラクターの管理
(4)その他の知的財産法

キャラクターを著作権以外の法律で守ることができるでしょうか?

◯商標法
(1)商標としてキャラクターを使う
商標とは、私たちが商品を購入したり、店でサービスを受けるときに「この商品だ」「このお店で買おう」など、識別するために使用される「マーク(標識)」(例えばトレードマーク、ロゴマーク、商品名、店名など)をいいます。
キャラクターを、商品タグとして商品に付けて使用する場合や、店の看板に使用する場合等、キャラクターそのもの、またはキャラクターと文字の組み合わせは「商標」として機能します。
そのような商標は、その商標を使用する特定の商品・役務を指定して、特許庁に出願をすると審査が行われ、商標登録がされると「商標権」が付与されます(商標法第18条)。

商標として登録したキャラクターの例

(2)商標権の効果とは?
「商標権」はその商標を独占的に使用できる権利です。登録された商標権者と許諾された者以外は、その商標と同一の商標および類似する商標も使用することはできません(第25条)。
たとえば、商標権者から許諾を得ていない他者が、類似する商標を付した商品を販売したときは、その商品の製造・販売等の行為を差止し、損害賠償を請求することができます(第36条、第37条)。

商標権者は、同一商標や類似商標などの一般需要者が混同を招くおそれのある商品を排除することにより、粗悪品や模倣商品の流出を阻止し、自己の商品やサービスの品質を維持することができます。商標権者はその商標の信用を守ることにより、商標であるキャラクターを、長く使い続けることができるのです。

商標権の存続期間は10年ですが、更新手続きができるので、半永久的に権利を維持することができます。

◯不正競争防止法
(1)不正競争防止法とは?
不正競争防止法とは、たとえば、商号や商標など他の事業者が営々と築き上げた信用や名声を冒用(知らないうちに、名義・ 名称を不正に使うこと)したり、売れ筋の商品形態をそっくりそのまま模倣したりするような行為を「不正競争」行為として禁止することにより、適正な競争を確保し、公正な市場を確保しようとするものです。
(2)不正競争防止法の効果とは?
例えばキャラクターをビジネス等に利用して一定期間が経過すると、キャラクターが周知(よく知られること)となります。そうすると一般需要者は「このキャラクターといえばこの商品」と識別できるようになり、「このキャラクターが付いているから」と商品が売れるようになります。そのような「品質保証機能」や「顧客吸引力」を持つキャラクターは、周知な商品等表示として、不正競争防止法で保護されます(不正競争法第2条1項1号)。
たとえば需要者が混同するような、キャラクターの模倣商品の販売や輸入を差し止めたり、ホームページでのキャラクターの掲載を差し止めたりすることができます(第3条、第4条)。

◯その他の知的財産制度
知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度が「知的財産権制度」です。
ここで紹介した「著作権法」や「商標法」、「不正競争防止法」は、「知的財産制度」に定められた「知的財産権を保護するための法令」のうちのひとつです。
この他にも、新たな技術や商品を開発した場合には、そのアイディアを保護する「特許法」「実用新案法」があります。
また、新たな商品の形態などを開発した場合には、そのデザインを保護する「意匠法」があります。

キャラクターは「知的財産権制度」で複合的に保護することが可能です。これらを戦略的に組み合わせて、より息の長いキャラクターを育てることができるのです。

商標とは
◯商標には、文字商標、図形商標、立体商標及びこれらの結合商標などいろいろなタイプのものがあります。また、新たに、「動き商標」、「ホログラム商標」、「色彩のみからなる商標」、「音商標」、「位置商標」の5タイプの商標が導入されました。
商品・役務を指定
◯商標登録出願をする際は、
・商標の使用をする商品
・商標の使用をする役務(サービス)
を指定商品・指定役務として、政令で定める区分に従って記載し、出願します。

◯使用していること・使用の予定があること
また、
・指定商品・指定役務について、使用している商標
・使用を予定している商標
を商標登録出願しなければなりません。
商品等表示とは
◯人の業務に係る商品又は営業を表示するものであって、
◯商品表示、営業表示といわれるもの
をいいます。
例えば、氏名、商号、商標、標章、商品の容器、包装などですが、
その他の商品・営業を表示するものとして、
商品の形態そのもの、CMテーマソング、TV映像、店頭の看板、場合によっては数字とアルファベットの組み合わせなどでも、他と比べて顕著な特徴を有し、長時間使用することによって特定の者の商品や営業を示すものであるときは、商品等表示にあたる、といわれています。