2.キャラクターの管理
(3)契約書

契約書は、その事に直接関係のある人(当事者)が、合意した内容の明確化や紛争の防止等の為に作成するものです。

◯合意
契約は、相対する2者間の、意思表示の合意によって成立します。つまり、
「この鉛筆を、あなたにあげます。」
「ありがとう。」と、合意すると
「鉛筆の所有権を無償で移転する」という契約が成立した、ということになります。
契約は、合意のみによって成立するので、口頭の約束だけでも成立しますが、明確にならない事項も多いので、契約書を作成して安全に取引をしようというわけです。

◯著作権と契約書
著作権は原則として、著作物の著作者(キャラクターの作者)に発生することは「(2)著作権法について」で述べました。
著作権は独占権ですので、著作権者または著作権者から許諾を受けた者しか、そのキャラクターを使用することはできません。そのキャラクターを使用したければ、著作権を譲渡してもらうか、許諾を受けなければなりません。
このように、著作権を持たない会社等がキャラクターを使用する場合には、作者と会社等の間で、著作権の譲渡や許諾について契約書を取り交わします。
そもそも著作権は自然発生的に発生し、誰に著作権が帰属するのかわかりにくいので「著作権譲渡契約書」や「著作権許諾契約書」で権利を明確にし、トラブルを避けようとしているのです。

◯誰と契約を結ぶのか?
さて、「著作権譲渡契約書」を結ぶ際、注意しなければならない点が「誰と契約を結ぶのか?」ということです。
あなたがキャラクターを使用する側である場合、契約を結ぶ相手は、著作権を保有する「著作権者」でなければなりません。
あなたが作者である場合には、自分が著作権者となり得るか確認する必要があります。例外的に著作権者が法人(会社など)となる場合がありますので、注意が必要です。

ⅰ)キャラクターを創作した作者が個人である場合

ⅱ)キャラクターを創作した作者が法人(会社など)等の従業員である場合

ⅰ)の場合は、作者個人が著作者となります。
ⅱ)の場合、作者(従業員)個人が著作者となる場合と、例外的にその法人(会社等)が著作者となる場合があります。本来、法人は「人」ではないので、創作活動を行えない、と考えられています。しかし一定条件を満たした場合のみ、その法人等が著作者となる場合(職務著作:著作権法 第15条)があります。

職務著作となる条件は、以下のとおりです。

法人等の発意に基づくものであること
(企画やプロジェクトを立てたのが法人等であること)

  • ・法人等の業務に従事する者が職務上作成するものであること
    (絵の上手な営業職員が、キャラクターを描いた場合はあてはまらない:営業業務が職務であってキャラクター作成は職務ではない)
  • ・法人等が自己の名義で公表するものであること
    (広告会社の従業員が描いたものであっても、広告主の名義で公表するものはあてはまらない)
  • ・作成時の契約、勤務規則に別段の定めがないこと
    (著作権者が従業員となる等の定めがないこと)

上記の条件を満たした場合には、「職務著作(著作権法 第15条)」となり、著作者はその法人等となります。
職務著作に該当すると、あなたがキャラクターを使用する側である場合は、契約を結ぶ相手は、その「法人等」ということになります。
一方、あなたがキャラクターの作者である場合は、実際にキャラクターを描いたのがあなただとしても、著作者は「法人等」である会社となります。